2019年8月2日金曜日

過去最多の衝撃

(児童福祉司の確保には限界があるため)親への育児指導を外部委託するなど、業務の効率化も進めていく。
厚生労働者の担当者 
(引用)2019年8月1日付 日本経済新聞社夕刊記事

昨年度、全国の児童相談所で対応した児童虐待件数は、前年度比19.5%増で過去最多の15万9,850件であったという。
このような数字を見るとき、私は、「ハインリッヒの法則」が当てはまるのではと考える。この法則は、主として病院などのアクシデントの発生についての経験則によるものだ。1件の重大事故の背後には、重大事故に至らなかった29件の軽微な事故が隠れており、さらにその背後には事故寸前だった300件の異常、いわゆるヒヤリハット(ヒヤリとしたりハッとしたりする危険な状態)が隠れているというものである。
このハインリッヒの法則を当てはめてみると、顕在化した約16万件の児童虐待件数に対して、464万件の軽微な虐待の事例が隠れており、さらにはその背後には虐待に至る寸前だった4,800万件の異常が隠れている可能性がある。
もちろん、約16万件の件数には軽微なものも含まれているだろうし、一概に児童虐待件数にハインリッヒの法則を当てはめるのも無謀であると承知している。
しかし、私は、2019年4月1日現在の我が国の子供の数(14歳以下)は1,533万人ということから考えると、約16万件の児童虐待件数は異常に高いものと考える。また、その背後に隠れた、顕在化していない児童虐待数は、計り知れないものがある。

その虐待の対応に追われる児童相談所の体制が整わない。先ほどの記事によると、この18年間で児童の虐待件数は9倍も増加しているのに対し、児童相談所で対応する児童福祉司は2.6倍の増加にとどまっているという。
さらに、いまの児童相談所は保護者や子どもへの対応、関係機関との連携を一手に担わされていている感がある。

一般的に、子どもへの虐待が起こる要因としては、次の3つに分類されるといわれている。まず、1つ目は育児不安を抱えるなどによる「親の要因」、2つ目は経済的不安や核家族化の進展に伴う「家族の要因」、そして3つ目はお子さんが障害などを抱えてみえるなどの理由による「子どもの要因」である。
また、児童虐待のケースはこれらの要因が複雑に絡むことも多い。

児童相談所は全国で215箇所(4月1日現在)であるという。
そこで働かれているかたの負担を軽減するためにできることはなにか。

虐待防止は、行政や学校、そして児童相談所だけの責任ではない。
個人、家庭、地域社会、さらには子ども虐待防止を目的とするオレンジリボンのような非営利活動法人が一丸となって、まず、身近にいる子育て中の親や子どもたちを守り支えていくという「意識」を持つことから始めることが重要であると思う。
そこに住む人達が、次の地域を創る子供達を育てていくという当事者意識を持つことを。



2019年7月27日土曜日

実行力

部下がこれまで「絶対にできない」と思っていたこと、部下にとっての長年の懸案、こうしたものを解決することによって、「最初の衝撃」を与えることが重要だと考えたのです。マキャベリも名著「君主論」において、「統治者は最初に衝撃的な大事業を行うべき」という意味のことを語っていますね。
(引用)  実行力 結果を出す「仕組みの作りかた」、橋下徹著、PHP新書、2019年、84

本書は、大阪府庁1万人、大阪市役所3万8千人の組織を動かしてきた橋下氏が、どのように考え、行動し、結果を出してきたかという「仕組み」の作りかたを纏めたものである。
本書を読み進め、読者の対象となるのは、必ずしも自治体の首長のみではないと感じた。

例えば、冒頭の引用文。これは、何も首長に限ったことではない。私も人事異動のたびに、その異動先に何の課題が存在しているのかを把握するところから始める。
そして、異動先の職場が抱えていた課題に対し、私も橋下氏と同じだなと感じたことは、現状が悪いのであれば、ますはこれまでの方針の全否定から入ることだ。このことを橋下氏は、「逆張りの法則」と呼んでいる。
そして、新しい職場環境でいち早く、逆張りの法則によって見つけ出した方針を示し、実行する。ミドルリーダー以上の職員なり社員は、そのことを心掛けてインパクトを与えることが必要だと思う。
その姿勢を見せ、実際に結果を出す。これこそが、リーダーだと橋下氏は言いたいのだろう。

ほかにも、本書には、橋下氏自身が経験し、当時の実例を交えながら、具体的かつ現実的に巨大組織を動かすためのプロセス、そしてリーダーの在り方が描かれている。
自治体職員をはじめ、民間事業者で働く多くのミドルリーダー以上のかたに薦めたい一冊である。











2019年7月22日月曜日

思考の道具箱


現状を維持するためには、周囲の変化に合わせて進化しつづけなければ、生き残ることはできない。

Think clearly、ロルフ・ドベリ著、サンマーク出版、2019年、355



人生を歩むとき、日々、様々な出来事に遭遇し、その出来事に対して思考を張り巡らし、決断することを迫られる。

例えば、普段の買い物から始まり、読書の仕方、簡単な頼みごとを引き受けるかどうかなど。

本書は、そんな身近な話題から、人生の成功、さらには死に至るまで、人生に必要不可欠な「思考」のアドバイスを提供してくれる。



冒頭に記した本書の言葉を聞いて、私は、進化論を唱えたダーウィンの名言とされるものを思い出した。



生き残る種とは、最も強いものではない。最も知的なものでもない。それは、変化に最もよく適応したものである。



本書では、「変化合わせて進化する」ということは、「不毛な争いを避ける」という意味で使われている。

つまり、あなたがその第一人者であり、なおかつ軍拡競争とも無縁でいられる分野を見つけることができれば、競争に巻き込まれず、不毛な争いを避けることができるのだという。

本書では、このような52の人生に役立つ思考法が散りばめられている。



私は、あまりこの手の本を読まない。

しかし、本書は、今まで歩んできた人生の考え方がこれでよいかを確認できた。

そして、この本を読んで、残りの人生、楽に生きられるような気がした。

ぜひ、多くの人におすすめしたい。




2019年7月7日日曜日

チームを最強にする「ABCDEの魔法」


私の人生で最も誇れるもの。
それはメンバーたちと一緒につくってきたチームです。
私たちのチームはどんなに高い目標でもあきらめません。
私たちのチームは誰かが苦しんでいたら、誰かが支え、助けます。
私たちのチームは自分たちが世界を変えると、全員が本気で思っています。

(引用)
THE TEAM 5つの法則、麻野耕司著、株式会社幻冬舎、2019年、15


本書は、著者自身の経験やコンサルの知見をもとにまとめられたチームの法則
私は、A(目標設定)、B(人員選定)、C(意思疎通)、D(意思決定)、E(共感創造)と進んでいくうちに、最強のチームになることを知った。

まず、チームとは何か。
2人以上集まり、「共通の目的」を目指せば、全てチームだ。
チームとは、家族にはじまり、小学校の通学団、町内会やPTA、民間事業者や非営利組織に至るまで、私たちの身近にも多く存在する。

本書は、普段、関わっている身近なチームを念頭に読み進めていくと良い。
「なるほどな」と思われるフレーズに幾度となく、出会えることができる。
また、この本は、チームの法則ではあるが、リーダーのためのものでもある。
まさに、AからEに至るまで、リーダーによる役割は非常に大きい。

さらに、本書では、著者自身がAからEまでを職場で実践し、チームの強化を図った事例も掲載されている。具体的な手法も掲載されており、成果をあげていることから、説得力も増している。

チームの法則、
つまり、「ABCDEの魔法」は、あらゆるチームを最強にすることが分かった。


2019年6月29日土曜日

無子高齢化


要するに、何よりも男女ともに安定した仕事を得ること、結婚して二人で働けば出産・子育てもできる経済力、それこそが少子化対策に必要なのである。

(引用)
無子高齢化 出生数ゼロの恐怖、前田正子著、岩波書店、2018年

まず、「無子高齢化」というタイトルを見て、私は、「やられた」と思った。
そう、これから日本が直面する最大の加田は、「少子」ではなく、「無子」なのである。

この本が、他の「少子化本」と一線を画しているのは、著者の前田氏が横浜市副市長という経歴の持ち主であることから、行政的な立場から「少子化」の解決策についてのアプローチを試みている点である。
実際、本書で著者は、その対策案として、行政的な視点から5つの案を提起している。
その提起された5つの案から、私は、非正規社員や外国人労働差の増加、奨学金の返済問題、家事・育児時間の増加など、様々な要因が重なり合い、我が国は少子化が進展してきたことを改めて認識させられた。そして、少子化対策は、行政において、子育て担当部署のみならず、経済振興、教育委員会、そして男女共同参画や国際を担当する部署が連携をして対策を講ずる必要があるのではと感じた。まさに、あらゆるエビデンスを得て著者が主張するように、まず、少子化対策とは、若者が経済力をもつような基盤整備が求められるのではないだろうか。

2017年の合計特殊出生率は、1.43である。このままだと、早くも3世代目の時点で、日本で生まれる子供の数は半分になってしまう。

無子高齢化時代の予兆は、すでにわが国で始まっている。生産年齢人口の減少に伴い、外食産業やコンビニエンス業界では、人手不足により、営業時間の短縮などに迫られている。
今まで当たり前と思っていたサービスが受けられなくなる。著者は、このまま日本の農家の減少と高齢化が進めば、畑が急な傾斜にあって、機械化も難しいミカンが食べられなくなるのではと危惧している。

「無子高齢化」時代の到来。我が国は、他の諸国と比較し、いち早く、その時を迎える。
その時を変えるべく、私たちは、行動を起こさなければならない。
本書を読んで、いま、始めるべきことを始めなければと思った。


2019年5月14日火曜日

勝てば官軍

「勝てば官軍」というと、なにかむきつけな感じがするかもしれないが、そうではない。
ビジネスは勝たなければ価値はない。人生もまたしかり。

(引用)
勝てば官軍(新装版)、藤田田(でん)著、KKベストセラーズ、2019年、7

いま、経営本と言えば、哲学やVISIONを社長と社員と共有すること。また、いつも感謝の心を持つなどの類が多くを占める。
もちろん、私は、これらの本を否定するわけではない。むしろ、「心の時代」と言われる現代社会において、求められるのは、社員と顧客、双方が幸せになることであろう。
顧客を創造し、幸福を追求していくことこそが企業の持続的な繁栄につながっているということは、大いに共感できるし、私も実践していきたいところだと感じている。

しかし、藤田氏の本は、これらの経営本と一線を画す。そこには、現場で戦ってきた一人の男の想いが綴られている。そこに、「綺麗ごと」はない。
この本の復刻版が出版されたということは、藤田氏の考え方、数々の経営手法、そしてリーダーとしてのありかたに至るまで、今の時代にも求められているということであろう。

不思議なことに、本を読み始めると、藤田氏の情熱が溢れ出し、その情熱が瞬時に読者に伝わり、藤田ワールドに引き込まれる。まるで、藤田氏が目の前に立って、熱く話しかけているかのように。

なぜ、引き込まれるのか。
藤田氏にとって、経営とは、「戦い」なのであろう。その戦ってきた姿、そして勝ちにこだわる姿は、共感を覚える。と同時に、改めて経営の難しさも教えてくれる。

なぜ、藤田氏は、ここまで戦い続けたのだろうか。
きっと、藤田氏の根底にあるのは、アメリカや西欧文化の良いところを日本に取り入れ、「日本をもっと豊かにしたい」という想いがあったのだろうと思う。

では、なぜ、藤田氏は、勝ちにこだわり続けたのか。
藤田氏は、自分が勝たなければ、いつまでも諸外国から日本が取り残され、私たちの暮らしが豊かにならない。だからこそ、変えていかなければならない。という、壮大な使命がったのではないだろうか。

マクドナルドやトイザらスを日本に広めるなどした藤田氏は、残念ながら、もう、この世にはいない。
しかし藤田氏の遺した言葉や考え方は、これからも本書を通じて広く伝えられていくことだろう。

藤田氏が設立した「日本マクドナルド株式会社」は、アメリカで開かれたマクドナルド世界コンベンションで「世界一」だと紹介された。

ビジネス、そして人生は勝たなければ価値はない。

そう教えてくれる藤田氏の考え方を、今度は、「今を生きる」私たちが実践していかなければならない。
それが、牽いては、社会が、そして日本が豊かになることにつながるから。

2019年5月12日日曜日

真の経営とは

「仕事は、人が幸せになるためにするもの」
「事業は、人を幸せにするためにするもの」
「企業は、人が幸せになる場所」
「経営とは、あらゆる手法を駆使して、社会に貢献すること」

(引用)
真経営学読本、福島正伸著、きんざい、2016年、323

この「真経営学読本」は、福島氏の人生の集大成ともいうべきものである。
また、この本は、本来、経営学で学ぶべきものとは、一線を画す。つまり、会計学、マーケティング、人事管理などの学術的な言葉は出てこない。
この本は、全く経営の知識を知らなくとも、難解な言葉に出会うこともなく、すらすら読める。
それは、まるで、経営学ではなく、人生論の本ではと思わせてくれるほどだ。

従来、経営とは、数字ありきでいわれてきた。
その企業が健全であるどうかを判断する際には、貸借対照表をはじめとする企業分析から始まる。事実、私も、大学でそのように教えられてきた。

確かに数字とは、客観的に企業の健全度を測る上で、一番優れている。
しかし、数字を追うことが経営ではない。
真の経営の根底には、人間があり、幸福があり、他者への貢献がある。
それは、どの分野の仕事であろうと、変わることのない、不変的な、真の経営につながることであると福島氏は教えてくれる。

「利己、己を利するために利益を追求することから離れ、利他、他人をよくしてあげようとする優しい思いやりをベースに経営していくと、会社は本当によくなります。」と京セラを立ち上げ、JALを再生させた稲盛和夫氏も言われる。

真の経営とは、人間としてのあたりまえのことを実践していくこと。
それは、冒頭に紹介させていただいた4つのことを実践していくことにほかならない。

私たちが経営することにより、まず、自分が幸せになり、働く仲間が幸せになり、それを受けた人たちが幸せになり、牽いては社会全体が発展し、幸せに包まれる。

経営とは、何も事業を経営している者だけにあてはまるものではない。
企業に勤める人間にとっても社会の構成員の一員として、常に経営を意識する必要があるだろう。

幸せの追求
それこそ、社会人としての使命であり、そこから真の経営は始まる。