2019年10月5日土曜日

FACTFULNESS


「じゃあ、わたくしの夢を言ってさしあげましょうか。それは、わたくしの孫がヨーロッパに観光に行って、そちらの新幹線に乗ることですよ。スウェーデンの北に氷のホテルがあるっていうじゃありませんか。うちの孫がそこに泊まるようになるんですよ。だいぶ先のことですけど、きっとそうなります。(中略)でも50年もすればアフリカの人たちは観光客としてヨーロッパに歓迎される存在になります。難民として嫌がられるんじゃなくてね。それがビジョンというものよ」

アフリカ連合委員会 ノーサザーナ・ドラミニ・ズマ委員長


(引用)FACTFULNESS 、ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド、日経BPマーケティング、2019年、234-235


本書を読み、レベル4(先進国)に住む私達にとって、世界に対する自分の常識が間違っているということを認識させられた。

その常識とは、例えば、世界中で電気が使える人はまだまだ少ないだろうということなど。

しかし、すでに80%の人がすでに電気を使用しているし、世界の姿は一変している。家族形態も、先進国のように少人数の家族が当たり前になり、普通の暮らしができるようになっているということを理解した。

実は、私も毎月いただく給料の中から、些少ながらユニセフに寄付をさせていただいている。そのユニセフは、製薬会社と長期的な収益を約束する代わりに、1回あたりの予防接種コストを下げる交渉が成立していたことを知った。しかも、ユニセフの薬は、売値のほうが原価より安い。そのユニセフと契約している製薬会社の「世界に貢献しよう」とする思いから、どのように企業を維持させているかというマジック(企業努力)にも感銘を受けた。善意による寄付金を有効に活用し、多くの子どもたちに予防接種をする努力も実を結び、今では、世界中の1歳児の中で何らかの病気に対して予防接種を受けている子供は80%にものぼるという。



「世界はどんどん悪くなっている?」

いや、この本を読めば、裏付けられた様々なエビデンスによって、良くなってきていることが理解できる。

そう、「私たちの住む世界は、どんどん良くなっている」のだ。

そして、いつの日か、我が国もソサエティ5.0の時代を全世界に先駆けて進展を遂げ、さらに生活が豊かに快適になること。そして、私が生きているときには間に合わないかもしれないが、我が国が多くのアフリカ観光客で溢れかえる日が来ることを楽しみに待っている。




2019年9月15日日曜日

老朽インフラ

過去の被害規模から過小な想定をしてしまった。複雑な難工事に直面している。
東京電力パワーグリッドの記者会見にて

台風15号による大規模停電が続く。復旧について、東京電力パワーグリッドは、当初、2日程度で全面復旧すると見通していたが、「今後、2週間以内におおむね復旧の見込み」と再度、修正の記者会見をした。

昨日、私は、千葉に住む知り合いのFacebookを見た。投稿されていた写真は、千葉県君津市内のコンビニエンスストアのものであったが、電気が復旧していないため、店内の棚には商品が並んでいない。家庭内でも同様に、冷蔵庫が一つ動かないだけで、食品は腐ってしまい、食品のストックすらできない状況だ。
また、オール電化の家では、調理することすらできない。また、井戸水があっても、吸い上げるポンプも使えない。連日、被災地から報道されているさまざま情報から、私達の暮らしには、電気が欠かせないことを痛感させられた。

日本経済新聞によれば、迅速な復旧を妨げる理由の一つとして、送電設備の老朽化もあげている。多くの送電設備は、1970年代のもので、同社の記事では、今後、巨額投資によりインフラをどこまで維持できるかの判断が迫られているとしている。

災害対策には、「予防」と「発生した後の迅速な対応」の両面から考える必要がある。
電力会社は、日頃から、強風の中でも送電設備が倒壊しないような対策を講じる必要がある。また、発生してしまったら、いかに迅速に復旧するかのシュミレーションも必要であろう。

さらに、このことは、私たち一人ひとりにも言える。電気、水道、ガスなど、私達の生活に、あたかも「空気」の存在のように、当たり前に存在する生活インフラ。もし、災害が発生し、これらの生活インフラが長期間遮断されたときを想定して、各家庭でも備えをする必要があるだろう。

いまもなお、停電が続く千葉県の皆様に、心より、お見舞いを申し上げます。

(引用)日本経済新聞社 2019.9.14 朝刊記事

2019年9月7日土曜日

感謝力

奇跡を起こせる人間は、失敗した時にこそ、「ありがたい」と感謝できるんです。
 
指揮者 佐渡裕

(引用)人間を学ぶ月刊誌 致知 2019年10月号(通巻531号)、18

致知の10月号は、指揮者の佐渡裕氏と大和証券グループ本社顧問の鈴木茂晴氏との対談であった。

クラシック音楽に興味のある私は、この特集記事である対談に惹かれた。なぜ、佐渡氏は、帝王カラヤンではなく、レナード・バーンスタインに師事したのか。また、佐渡氏が子供のころに夢に抱いていた世界最高峰のオケであるベルリン・フィルを指揮することになったのか。今回の特集記事では、小澤征爾との数々のエピソードも交えながら、佐渡氏の足跡を大変興味深く読ませていただいた。

この特集記事を読み進めていくうち、私は、チャイコフスキー国際コンクールで優勝した諏訪内晶子氏の著書「ヴァイオリンと翔ける」の一節を思い出した。
その著書で、諏訪内さんは、「ヴァイオリンのような自分で音程を作らなければならない楽器では、日本人の場合、どうしても平均律で音程をとってしまうようだ。国際コンクール等ではそれがハンディとなってしまう。クラシックの国である西洋人の耳には平均律よりの演奏に違和感を感じる」と語っている。

もともと私達の身体に流れている「血」が違うことによるハンディを乗り越え、西洋の文化で活躍する日本人が増えてきている。
我ら日本人、そして東洋人が西洋の文化で活躍していることは、相当の努力もあったと思われるが、「奇跡」とも言える現象が起こったのではないか。

佐渡氏によれば、奇跡を起こす方程式が存在するという。才能、運、努力は足し算だが、掛け算になるものが一つだけある。それは、感謝力だと。

奇跡を起こし、東洋人というハンディキャップを乗り越え、西洋の舞台で活躍する音楽家たちの奇跡の演奏を、私は、これからも楽しみに聴いていきたい。




2019年8月18日日曜日

災害報道の特徴

「報道機関は、災害報道となると理性を失う傾向がある」ということだ。
災害報道には、
①災害は、大ニュースだ。読者・視聴者の関心も高い。
②情報の整理分析よりも速報性が重視される。
③瞬時に大量の紙面または放映・放送時間が割かれる。
という特性がある。
私はそのことを非難しているのではない。取材される側の行政としては、「災害に際して、異常な状態にあるのは、被災者だけではない」ことを認識して事に当たるべきだと言いたいのだ。
(引用)自治体の政策創造、青山佾著、三省堂、2007年、218-219

先日、台風10号が西日本を縦断した。その際、JR西日本は2日前から段階的に運休を予告したため、当日、駅などで目立った混乱はなかったという。
お盆休みのUターン時期と重なり、山陽新幹線だけで約20万人が影響を受けたにも関わらずだ。

影響を受けられたかたには反論を言われるかたも見えると思うが、私は、この措置を大いに歓迎したい。
元東京都副知事の青山氏も災害報道になると報道機関は理性を失う傾向があると指摘する。
台風が迫り、刻々と各地の被害状況が伝えられる中、ややもすると、交通機関の運行状況に関する報道は埋もれてしまい、上手く伝えられない可能性がある。
ゲリラ的な豪雨や大規模地震のように、予知が困難な災害は別にして、気象庁の予測精度が上がっている台風の進路は、数日前から予知できる。
今回のJRの対策は、まさに「災害報道の棲み分け」を上手に駆使し、台風による被害が深刻になる前に予告し、利用客の混乱を防いだ。

この措置は、もっと身近にも広げるべきだと思う。
例えば、学区の運動会や町内会の行事ごとなどにおいても、事前に予知できる災害であれば、「翌日の運動会は中止にします」などと予告すべきではないか。
当日朝決定となると、例えば役員のかたは、「お弁当の手配はどうしよう」とか、保護者のかたは、「もし中止になったら翌々日の仕事の調整をどうしよう」ということにもなる。
このように、事前予告というのは、その決定を受け入れ、次のステップをいち早く検討することができることから、それぞれ関係されるかたのストレスを軽減させる意味合いもあると思う。

実際、運休を決めたのち、当日、新幹線が運行可能であった状況もあるかもしれない。
しかし、オーバートリアージともいうべきことが生じたとしても、「災害報道の棲み分けい」をし、人々の生命・安全を守り、混乱を防ぐことが最優先ではなかろうか。

まだこの措置も改善の余地があると思う。
また、お盆の時期だったから、今回だけ2日前に予告したということかもしれない。
ただ、災害時に影響が大きいと予測される事案については、速やかな決定、速やかな周知が望まれると考える。

(引用)日本経済新聞、2019年8月17日付、朝刊記事





2019年8月17日土曜日

着眼大局 着手小局

子育てにやさしいまちは、その都市の人口減少を食い止める。

兵庫県明石市は、保護者に対する保育料や医療費などの経済的な負担の軽減をはじめ、子育て環境の整備に力を注いでいることで知られる。その結果、関西圏が人口減少に陥る中、明石市は、人口が回復し、全国から注目されている。

そんな中、同じ関西圏で若い市長、副市長が人口減少を食い止めることで頑張っていることを知った。人口規模5万強の大阪府四條畷(しじょうなわて)市だ。
その四條畷市の副市長は、民間から初となった林有理氏だ。

林氏は、職員とともに子育てマップ作成でおむつ交換ができる店などをまとめたり、窓口でのQRコード支払いを全国で初めて導入したりした。
林氏自身も母親ということで、その視点を行政に反映させたそうだ。

何が子育て支援策で必要なのか。
例えば、公園の使い勝手はどうか、保育園の入園手続きは保護者にとって優しいものになっているのだろうかなどと考えていくと、どうしても行政の縦割りの弊害が生じる。
そこで、林氏は、各部局の部長クラスを中心に経営会議を発足させ、縦割りの組織に横串を通し、子育てにやさしいまちを着実に実現し、その街の人口減少を食い止めている。

林氏の座右の銘は「着眼大局 着手小局」。これは、孔子の弟子の荀子の言葉で、全体を俯瞰的に対局に見ながら、目の前のことを細心の注意を払って実践することだ。
壮大な、しかもそこに住む人達にとって利益をもたらす政策は構想できた。しかし、どこから手をつければよいのか、わからない時がある。そんなときは、この言葉を思い出し、まず、目の前のことから変えていくことが必要だと感じた。

もう一つ、林氏は、「一切唯心造(いっさいゆいしんぞう)」という言葉も大切にしている。これは、「すべての事象は、あなたの心が創り出している」という禅語だ。すなわち、あらゆる存在は心より現出したものにほかならず、心のほかに何も存在しないことを意味する。
あのスティーブ・ジョブズも座禅によって自分の深いところに下りていき、自分の実現したいものを世に送り出し、数々のくらしを変えていった。

政策とは、子育てにやさしいまち、そして自分たちで楽しい街を創ろうとする、その「想い」から出発する。

引き続き、四條畷の取り組みを注視していきたい。

(引用) ハフィントンポスト
https://www.huffingtonpost.jp/entry/shijonawate_jp_5ce4e037e4b0547bd12eebc5












生産年齢人口の2割超

一昨日は、終戦記念日であった。
今年のお盆、家族で先祖のお墓参りしたとき、無念にも戦場に散った身内の名前が墓に刻まれていた。私の子供がそれを見て、「誰?」と私に聞いた。幼いときから、私は、自分の家のお墓に戦死した身内の名前が刻まれていることを知っていた。しかし、改めて聞かれると、私は、その身内の顔も、生き様も知らないことに気づかされた。
彼らは、将来の夢を描きながら過ごすであろう青春時代を、どんな気持ちで戦地に赴いたのだろうか。終戦記念日の正午の黙祷時に、そのことを思った。

政府は、バブル崩壊後に高校や大学を卒業した「就職氷河期」世代の就職支援を本格させるという。この世代は、2018年時点で35~44歳の人で、人口規模は1689万人、生産年齢人口(15歳~64歳)にしめる割合は22.4%にのぼる。つまり、現在の生産年齢人口の2割超が就職氷河期世代ということになる。

せっかく高等教育を学びながら、景気の影響で就職難だった。そんな就職氷河期のかたたちを支援する目的として、政府は、正規雇用で半年定着したら研修業者に成功報酬型の助成金を出すという。

昨年、33~45歳で無職やフリーターの人は、2003年の57万と比較し、92万人に増加した。明らかに、就職氷河期の影響が出ていると言わざるを得ない。

戦時中に、そして就職氷河期に地球に舞い降りて、この世に生を受けることは、その本人のせいではない。
また、当時の社会情勢のせいにしても始まらない。
いま、社会全体で希望が持てるような策を講じていくことは、私も大いに賛成するところである。ぜひ、有効な就職支援を行ってほしいと思う。

(引用)日本経済新聞 8月15日 朝刊記事










2019年8月7日水曜日

脱皮

昨年末、雑誌の対談で作家の塩野七生から面と向かって諭された。
「これからあなたは、『脱皮』をしなければいけません。」
(「文藝春秋」2018年2月号)

これは、塩野さんのファンだった小泉進次郎氏が言われた言葉だ。
塩野氏との別れ際、小泉氏は、「それは僕自身が感じていたことでもあります。何とか脱皮して凄みを身につけられるように努力したいと思います。」と語った。(同前)

本日、小泉進次郎氏と滝川クリステルさんが結婚を発表した。
私は、このニュースを聞いたとき、小泉氏はまた「脱皮」したと思った。

人間が大きく成長するためには、脱皮が必要だ。
それは、肉体的にではなく、成熟した大人が精神的に脱皮することも含まれる。

人は、脱皮を繰り返し、付き合う人を変え、お金の使い方を変え、考え方を変え、自分の行動を変え、社会を変える。
人が脱皮するということは、自分自身があたらしいステージに上がり、社会に変革をもたらすということではないだろうか。

いま、若い世代の方の活躍が目覚ましい。
先日のゴルフのAIG全英女子オープンで優勝した渋野日向子選手もその一人だ。
大会中は、ギャラリーとハイタッチしたり、握手を交わしたりしながら笑顔で、果敢かつ大胆に攻める姿に感動した。
これにより、渋野選手の世界ランキングは46位から、一気に14位となった。今回の優勝は、彼女にとっても『脱皮」であり、夢である東京五輪も近づいた。また、彼女の活躍は、自分自身の成長のみならず、豪雨で被災した地元にも大きな勇気と希望を与えた。まさに彼女も社会に変革をもたらした一人だ。

脱皮した若い世代の活躍を、これからも応援したいと思うと同時に、自分自身ももっと脱皮を重ねなければと思った。

とにかく、小泉進次郎氏と滝川クリステルさんのご結婚、そして渋野さん、本当におめでとう。

(引用)NEWS PICKS Magazine 2018年夏号、株式会社ニューズピックス、株式会社幻冬舎、2018年、025