2019年5月14日火曜日

勝てば官軍

「勝てば官軍」というと、なにかむきつけな感じがするかもしれないが、そうではない。
ビジネスは勝たなければ価値はない。人生もまたしかり。

(引用)
勝てば官軍(新装版)、藤田田(でん)著、KKベストセラーズ、2019年、7

いま、経営本と言えば、哲学やVISIONを社長と社員と共有すること。また、いつも感謝の心を持つなどの類が多くを占める。
もちろん、私は、これらの本を否定するわけではない。むしろ、「心の時代」と言われる現代社会において、求められるのは、社員と顧客、双方が幸せになることであろう。
顧客を創造し、幸福を追求していくことこそが企業の持続的な繁栄につながっているということは、大いに共感できるし、私も実践していきたいところだと感じている。

しかし、藤田氏の本は、これらの経営本と一線を画す。そこには、現場で戦ってきた一人の男の想いが綴られている。そこに、「綺麗ごと」はない。
この本の復刻版が出版されたということは、藤田氏の考え方、数々の経営手法、そしてリーダーとしてのありかたに至るまで、今の時代にも求められているということであろう。

不思議なことに、本を読み始めると、藤田氏の情熱が溢れ出し、その情熱が瞬時に読者に伝わり、藤田ワールドに引き込まれる。まるで、藤田氏が目の前に立って、熱く話しかけているかのように。

なぜ、引き込まれるのか。
藤田氏にとって、経営とは、「戦い」なのであろう。その戦ってきた姿、そして勝ちにこだわる姿は、共感を覚える。と同時に、改めて経営の難しさも教えてくれる。

なぜ、藤田氏は、ここまで戦い続けたのだろうか。
きっと、藤田氏の根底にあるのは、アメリカや西欧文化の良いところを日本に取り入れ、「日本をもっと豊かにしたい」という想いがあったのだろうと思う。

では、なぜ、藤田氏は、勝ちにこだわり続けたのか。
藤田氏は、自分が勝たなければ、いつまでも諸外国から日本が取り残され、私たちの暮らしが豊かにならない。だからこそ、変えていかなければならない。という、壮大な使命がったのではないだろうか。

マクドナルドやトイザらスを日本に広めるなどした藤田氏は、残念ながら、もう、この世にはいない。
しかし藤田氏の遺した言葉や考え方は、これからも本書を通じて広く伝えられていくことだろう。

藤田氏が設立した「日本マクドナルド株式会社」は、アメリカで開かれたマクドナルド世界コンベンションで「世界一」だと紹介された。

ビジネス、そして人生は勝たなければ価値はない。

そう教えてくれる藤田氏の考え方を、今度は、「今を生きる」私たちが実践していかなければならない。
それが、牽いては、社会が、そして日本が豊かになることにつながるから。

2019年5月12日日曜日

真の経営とは

「仕事は、人が幸せになるためにするもの」
「事業は、人を幸せにするためにするもの」
「企業は、人が幸せになる場所」
「経営とは、あらゆる手法を駆使して、社会に貢献すること」

(引用)
真経営学読本、福島正伸著、きんざい、2016年、323

この「真経営学読本」は、福島氏の人生の集大成ともいうべきものである。
また、この本は、本来、経営学で学ぶべきものとは、一線を画す。つまり、会計学、マーケティング、人事管理などの学術的な言葉は出てこない。
この本は、全く経営の知識を知らなくとも、難解な言葉に出会うこともなく、すらすら読める。
それは、まるで、経営学ではなく、人生論の本ではと思わせてくれるほどだ。

従来、経営とは、数字ありきでいわれてきた。
その企業が健全であるどうかを判断する際には、貸借対照表をはじめとする企業分析から始まる。事実、私も、大学でそのように教えられてきた。

確かに数字とは、客観的に企業の健全度を測る上で、一番優れている。
しかし、数字を追うことが経営ではない。
真の経営の根底には、人間があり、幸福があり、他者への貢献がある。
それは、どの分野の仕事であろうと、変わることのない、不変的な、真の経営につながることであると福島氏は教えてくれる。

「利己、己を利するために利益を追求することから離れ、利他、他人をよくしてあげようとする優しい思いやりをベースに経営していくと、会社は本当によくなります。」と京セラを立ち上げ、JALを再生させた稲盛和夫氏も言われる。

真の経営とは、人間としてのあたりまえのことを実践していくこと。
それは、冒頭に紹介させていただいた4つのことを実践していくことにほかならない。

私たちが経営することにより、まず、自分が幸せになり、働く仲間が幸せになり、それを受けた人たちが幸せになり、牽いては社会全体が発展し、幸せに包まれる。

経営とは、何も事業を経営している者だけにあてはまるものではない。
企業に勤める人間にとっても社会の構成員の一員として、常に経営を意識する必要があるだろう。

幸せの追求
それこそ、社会人としての使命であり、そこから真の経営は始まる。