2019年5月12日日曜日

真の経営とは

「仕事は、人が幸せになるためにするもの」
「事業は、人を幸せにするためにするもの」
「企業は、人が幸せになる場所」
「経営とは、あらゆる手法を駆使して、社会に貢献すること」

(引用)
真経営学読本、福島正伸著、きんざい、2016年、323

この「真経営学読本」は、福島氏の人生の集大成ともいうべきものである。
また、この本は、本来、経営学で学ぶべきものとは、一線を画す。つまり、会計学、マーケティング、人事管理などの学術的な言葉は出てこない。
この本は、全く経営の知識を知らなくとも、難解な言葉に出会うこともなく、すらすら読める。
それは、まるで、経営学ではなく、人生論の本ではと思わせてくれるほどだ。

従来、経営とは、数字ありきでいわれてきた。
その企業が健全であるどうかを判断する際には、貸借対照表をはじめとする企業分析から始まる。事実、私も、大学でそのように教えられてきた。

確かに数字とは、客観的に企業の健全度を測る上で、一番優れている。
しかし、数字を追うことが経営ではない。
真の経営の根底には、人間があり、幸福があり、他者への貢献がある。
それは、どの分野の仕事であろうと、変わることのない、不変的な、真の経営につながることであると福島氏は教えてくれる。

「利己、己を利するために利益を追求することから離れ、利他、他人をよくしてあげようとする優しい思いやりをベースに経営していくと、会社は本当によくなります。」と京セラを立ち上げ、JALを再生させた稲盛和夫氏も言われる。

真の経営とは、人間としてのあたりまえのことを実践していくこと。
それは、冒頭に紹介させていただいた4つのことを実践していくことにほかならない。

私たちが経営することにより、まず、自分が幸せになり、働く仲間が幸せになり、それを受けた人たちが幸せになり、牽いては社会全体が発展し、幸せに包まれる。

経営とは、何も事業を経営している者だけにあてはまるものではない。
企業に勤める人間にとっても社会の構成員の一員として、常に経営を意識する必要があるだろう。

幸せの追求
それこそ、社会人としての使命であり、そこから真の経営は始まる。