強烈な意志、強烈な熱意、こうありたいという強烈な願望というものが伴ったときに、初めて物事というのは成就するんだと思います。
(引用)
誰にも負けない努力 仕事を伸ばすリーダーシップ、稲盛和夫著、PHP研究所、2019年、190
本書は、稲盛氏が社内外の主にリーダーに向けて話し続けてきたものをまとめたものである。
稲盛氏によれば、素晴らしいリーダーとは、
まずは、潜在意識に透徹するほどの、強く持続した願望を持つこと。
そして、自分の周囲にいる人たちに目標をはっきり指し示し、自分がシミュレーションしたことを集団の全員に説明して、それが成功するのだということを信じ込ませる雰囲気をつくることだと説いている。
稲盛氏は、自身が影響を受けた中村天風の考えかたを踏襲しつつ、リーダーのあるべき姿を確立した。
中には、物事がうまくいかなかったとき、周りの人のせいにして、誹謗中傷だけを繰り返すリーダーがいる。
中には、進むべきビジョンを示さず、組織に無関心なリーダーがいる。
中には、部下と意思疎通を図らず、組織のモチベーションをあげないリーダーがいる。
そんなリーダーに、人はついてくるだろうか。
いや、そんなリーダーには、誰もついていかない。
経営破綻したJALまで復活させた稲盛さんが確立した哲学は、どのような組織、どのような立場、そして、どのような仕事をしていても共通するものがあり、大いに参考になる。
誰しも、仕事を進めていく上で、大きな壁が立ちはだかり、それを乗り越えていけるか不安になる。
よく、人は言う。
仕事は、自己実現である、と。
しかし、仕事は、社会を創造することにもつながる。
よりよい社会を創るためには、そのビジョンを描けるリーダーが必要だ。
稲盛氏は、自身の哲学で、とてつもなく大きな壁を乗り越えた。
自問してみるといい。
いま、現実に私たちの前に立ちはだかる壁は、JALを復活させた稲盛氏が経験した壁より高いものであろうか。
いや、そんなことはないはずである。
そうすれば、自分の抱えている課題も小さく見えてくる。
稲盛氏からは、リーダーシップのあり方と同時に、勇気を持つことの大切さも教えていただいたように思う。
私の尊敬する稲盛和夫さんに、あらためて感謝したい。