2019年9月7日土曜日

感謝力

奇跡を起こせる人間は、失敗した時にこそ、「ありがたい」と感謝できるんです。
 
指揮者 佐渡裕

(引用)人間を学ぶ月刊誌 致知 2019年10月号(通巻531号)、18

致知の10月号は、指揮者の佐渡裕氏と大和証券グループ本社顧問の鈴木茂晴氏との対談であった。

クラシック音楽に興味のある私は、この特集記事である対談に惹かれた。なぜ、佐渡氏は、帝王カラヤンではなく、レナード・バーンスタインに師事したのか。また、佐渡氏が子供のころに夢に抱いていた世界最高峰のオケであるベルリン・フィルを指揮することになったのか。今回の特集記事では、小澤征爾との数々のエピソードも交えながら、佐渡氏の足跡を大変興味深く読ませていただいた。

この特集記事を読み進めていくうち、私は、チャイコフスキー国際コンクールで優勝した諏訪内晶子氏の著書「ヴァイオリンと翔ける」の一節を思い出した。
その著書で、諏訪内さんは、「ヴァイオリンのような自分で音程を作らなければならない楽器では、日本人の場合、どうしても平均律で音程をとってしまうようだ。国際コンクール等ではそれがハンディとなってしまう。クラシックの国である西洋人の耳には平均律よりの演奏に違和感を感じる」と語っている。

もともと私達の身体に流れている「血」が違うことによるハンディを乗り越え、西洋の文化で活躍する日本人が増えてきている。
我ら日本人、そして東洋人が西洋の文化で活躍していることは、相当の努力もあったと思われるが、「奇跡」とも言える現象が起こったのではないか。

佐渡氏によれば、奇跡を起こす方程式が存在するという。才能、運、努力は足し算だが、掛け算になるものが一つだけある。それは、感謝力だと。

奇跡を起こし、東洋人というハンディキャップを乗り越え、西洋の舞台で活躍する音楽家たちの奇跡の演奏を、私は、これからも楽しみに聴いていきたい。