2020年4月1日水曜日

志村けんさんの死と危機管理

日本のコメディアン・志村けんさんが新型コロナウイルスによる肺炎で3月29日に亡くなった。
70歳。長寿国日本では、早すぎる死であった。

私は、いわゆる「ドリフ世代」だ。子供のころ、土曜午後8時には決まってテレビの前に座り、ザ・ドリフターズの「8時だョ!全員集合」を見るのを楽しみにしていた。特に、ザ・ドリフターズのメンバーである加藤茶さんと志村けんさんのコンビによるステージは特別で、私も友達とヒゲダンスを真似したものだ。

亡くなった志村けんさんと私は、ちょうど20歳違う。実は、私と誕生日が同じなのだ。そのため、昔から、志村けんさんとは、何らかの親近感を勝手に抱いていた。
その志村けんさんが突然、亡くなる。
改めて、私は、新型コロナウイルスの恐怖を知った。

世界で拡大する新型コロナウイルス。この恐怖に立ち向かうために、どうしたら良いか。私は、ニューヨーク市長だったルドルフ・ジュリアーニさんの本を読み返した。ジュリアーニさんは、2001年9月11日に起きた同時多発テロの処理で陣頭指揮に当たり、その水際だったリーダーシップが世界中の賞賛を集めたかただ。

9.11のとき、ジュリアーニさんは、次のように語っている。
「わたくしは自分がやるべきことを三つにまとめた。まず、市民とのパイプを確保し、市民が落ち着いて、安全に避難できるように最善を尽くすこと。次に、負傷者を受け入れる態勢を整えること。(中略)そして、もう一つ頭にあったのは・・・『次に何が起こるのか?』」
(引用)リーダーシップ、ルドルフ・ジュリアーニ、株式会社講談社、2003年、39

9.11のテロと新型コロナウイルスは種類が違えど、ジュリアーニさんが9.11で実践したリーダーシップのとり方は、新たな感染症の難敵にも十分通用するものだと思った。

本日、政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が開催された。
委員からは、「これからの日本の取組みについて、世界の注目が集まっている。(中略)
市民の皆さんは、法律で義務化されていなくても、3つの蜜が重なるところを徹底して避けるなど、社会を構成する一員として自分、そして社会を守るため、それぞれが役割を果たしていきましょう。」と締めくくった。
「3つの蜜」とは、換気の悪い密閉空間、人が密集する場所、そして密接した近距離のことだ。この「3つの蜜」が重なるところは、感染リスクが非常に高まる。

ジュリアーニさんが現役時代、机の上にリーダーシップ哲学を要約した言葉が掲げられていたという。
その言葉は、「責任を取る」。
これ以上、我が国で新型コロナウイルスの感染を拡大させないため、一人ひとりが責任ある行動をとらなければならない。
誰もが、リーダーシップを発揮するときがきている。
志村けんさんの死を目の当たりにし、そんなことを思った。

最後に、私が子どものころ、私のあこがれでもあり、兄貴のようであった志村けんさんの御冥福を心よりお祈りいたします。
                       令和2年4月1日 宮本佳久