よく大人が若い人に、夢を持ちなさい、目標を持ちなさいって言いますよね。
あれに僕は首をかしげる。
夢を持てば、目標を持てば、がんばって何かになれる。
ということは、実は無いんだ。
今、自分がしていることを全力ですること。
目の前のことをきちんとこなそうとすること。
そのこと自体が夢であり目標であると、そう僕は思っているんです。
大棟耕介
(引用) 地球の名言 http://earth-words.org/archives/8574
今日は、大棟耕介氏の講演を聞く機会に恵まれた。
彼の講演を聞くのは、これで二度目だ。私は、いつかもう一度、彼の話を聞きたいと思っていた。その夢が、今日、叶った。それだけ、彼の講演は、クラウンの実演も交えることから面白く、そして熱い。
そう、彼の職業はクラウン(道化師)。大棟氏によれば、アメリカやヨーロッパでは、クラウンという職業の社会的地位が非常に高いという。クラウンという職業は、よく「ピエロ」と勘違いされる。ピエロというのは、演劇の中の役柄名であり、個人名である。つまり、日本人がピエロと呼んでいるのは、クラウンの中の一つの役名のことだ。
サーカスを見るとわかるが、クラウンは、相手を主役に立て、自分は、脇役に徹する。そして、脇役に徹しながら観客から笑いを引き出す。そして、クラウンの神髄は、「その場の空気を変える」ことにあるそうだ。だから、クラウンは、サーカスなどでも一番の高給取りであるという。
彼のすごいところは、時間があれば病院に出向き、病魔と闘う子供たちを励まし続けていることだ。
小児病棟では、四六時中、白い壁に囲まれ、入院している子供たちは、外出することが許されない。また、講演では、大棟氏のホスピタル・クラウンの活動を紹介する映像も拝見したが、薬の副作用で髪の毛が抜け落ちていき、顔も腫れてしまっている小学生の女の子もいる。そんな子供たちが過ごす暗い病院に、一たび、クラウンの彼が訪れると、その場の雰囲気が明るくなり、子供たちの表情が一変する。最初は、人見知りだった子供たちも、今や、彼が訪れると、担当医も聞いたことのないような大きな笑い声が病院に響き渡る。
まさに、私は、ここが重苦しい病院ではなく、普段の家で過ごしているかのように、クラウンである彼が「空気を変えた」ことによるものだと思う。
本日の講演会では、最後に質問コーナーがあった。その際、客席から「今後の夢」について聞かれた大棟氏は、このブログの冒頭に記したようなことを回答していた。
そして、目の前のことを一生懸命していれば、東日本大震災、熊本地震、西日本豪雨の被災地などにも呼ばれるようになり、苦しい空気を変え、より多くの人を勇気づけられるようになったという。
そして、ついに、彼は、本場アメリカのクラウン大会で金メダルを受賞するまでになった。
大棟氏は、目の前の仕事を全力で取り組み、今日という一日を真剣に生きているからこそ、それ自体が自分の夢になっていく。
まさに、冒頭の言葉通りだ。そして、その夢は現実のものとなる。
しかし、そこで彼の夢は終わらない。
今度は、ギネスブックにも挑戦していくそうだ。
日々を真剣に生きる彼の夢は、どこまで進化していくのだろう。
私は、また、いつの日か、彼の三度目の講演が聞けることを楽しみにしている。