「歳をとる」というのは、誰も皆、やったことないですから。誰もがみんな初体験。
私も、ここから先は初めての道です。
「初めてのことなんだから、楽しんでやっていければいいな」
そう思っています。
(引用)まあまあふうふう。、八千草薫著、主婦と生活社、2019
昨日、女優の八千草薫さんが膵臓がんで亡くなった。88歳だった。
訃報をお聞きして、ふと、八千草さんの大ファンだった自分の祖父のことを思い出した。
温和で上品で、そして映画やテレビなどでひたむきに生きる日本の女性の美しさを演じきった八千草さんは、幅広い年代に親しまれた。
誰しも老いはやってくる。楽天インサイトが行った20-60代、男女1000人に行った「終活アンケート」によれば、終活をする意向があるかたが40.3%にのぼり、その理由として「家族に迷惑をかけたくない」が75.9%であった。
意外だったのは、終活の意向がある年代別でトップだったのが30代で46%。家庭を持ち、子供ができて、自分の生き方に責任が生まれてくる年代だからだろうか。
一方、終活の中で、「何から手を付けて良いかわからない」が36%、「相談できる相手がいない」が18.6%にのぼっている。「終活」というキーワードは、今後さらに民間事業者にとってビジネスチャンスになっていくだろうし、公共機関は、終活セミナーの開催など、八千草さんの言われた「楽しく老いる」ためのサポート支援をより一層、充実させていくことが求められるのではないだろうか。
終活というのは、何も気張らなくてもいいというのが私の考えだ。例えば、我が家の例で言えば、エクセルを使って取引金融機関、口座番号、残高、金融機関の連絡先を一覧にして、家族で共有するだけでも終活になる。また、加入している保険、種類、保険番号、保険会社、保険会社の連絡先なども一覧にしておけば、終活のみならず、災害にあったときなどにも役に立つ。これは、以前、危機管理研究所の国崎信江さんに教えてもらったことだ。
八千草さんが著された本のタイトル、「まあまあふうふう」という言葉は、中国語からきていて、「いい加減な」という意味があるようだ。しかし、「いい加減」というのは、「気張らない」という意味にもつながると思う。
このブログを書いている時、どこからか、あの、八千草さんの優しい声で「これからも楽しんで歳を取っていってくださいね」と囁かれた気がした。
私は、少しでも八千草さんのように素敵に歳を重ねていきたいと思った。
八千草薫さんのご冥福を、心よりお祈りします。
(引用)2019.10.26付、日本経済新聞朝刊記事、Pickデータ 「終活する」全体の4割
2019年10月29日火曜日
2019年10月26日土曜日
渋沢栄一と茂木友三郎とピーター・F・ドラッカー
成名毎在窮苦日 (名を成すはつねに窮苦の日にある)
敗事多因得意時 (敗れること多くは得意のときに因る)
渋沢栄一
10月24日(2019)のTV東京系「カンブリア宮殿」では、キッコーマンの茂木友三郎名誉会長が出演された。
キッコーマンは、我が家の食卓にも欠かせないものを多く世に送り出している。特に、新型ボトルでヒットさせた醤油、「いつまでも新鮮」シリーズは、マーケティングで言うパッケージングで醤油が酸化するという課題を見事に克服している。そのおかげで、各家庭では、いつまでも醤油本来の美味しさを味わうことが可能となった。
キッコーマンの茂木友三郎氏は、「需要創造」という言葉を多用する。この言葉を聞いた時、私は、「あー、茂木さんも『ドラッカリアン』」なのだと思った。ドラッカリアンとは、現代経営哲学の父であるピータ・F・ドラッカー氏を崇拝している方たちのことを言う。後ほど調べてわかったが、やはり、茂木氏もアメリカの大学で学ばれるなど、立派なドラッカリアンであった。
ドラッカーは、自身の著書「チェンジ・リーダーの条件」の中で次のように言う。
「企業はまず、顧客を創造しなければならない。」と。
茂木氏によれば、経営者の思いつきのアイデアだけで商品を出してもヒットしないという。
ヒットの秘訣は、「潜在需要を有効需要に」まで高めていくこと。
そのためには、経営者のフラッシュアイデアで商品を市場に送り出してはいけない。
まず、試作品をテスト販売するなどして、この新商品は、「本当に市場に受け入れられるのか」、「新たな顧客を創造できるのか」を探る。
そして、満を持しして新商品を市場に投入したら、「絶対にナンバーワンになる」という自信が必要だとも言われる。
そのことは、何も民間事業者に言えることではない。市民や国民のニーズに政策で応えるといった公共などの分野にも言える。
茂木友三郎氏の座右の銘は、冒頭に記した渋沢栄一氏の言葉だ。
要約すれば、苦しいときを乗り越えたとき、名を成すことができる。
得意のときには敗れることが多い。
かつて、ピーター・F・ドラッカーは日本に興味を持ち、日本を訪れ、偉大な経営者の研究をしている。そして、自身の著書においても、「企業の社会的責任」の先駆者として紹介している。
その人物こそ、渋沢栄一氏だ。
ピータ・F・ドラッカーは言う。
「日本が50年代、60年代に発展させたシステムは、他のいかなる国のものよりも大きな成果をあげた。(中略)私は、21世紀の日本が、私と本書に多くのものを教えてくれた40年前、50年前の、あの革新的で創造的な勇気あるリーダーたちに匹敵する人たちを再び輩出していくことを祈ってやまない」
我が国の食卓から醤油離れが著しい。ただ、茂木氏の率いるキッコーマンは、毎年着実に利益を伸ばし、地元千葉県野田市に市民会館を寄付したり、キッコーマン総合病院を開院させるなど、大きな社会貢献も果たしている。
これは、窮苦のときこそ頑張る。それを乗り越えたとき、私たちの活動を通じて、社会をより良くすることができるという精神を貫いてきたからこそだと思う。
渋沢栄一とドラッカー、そして茂木氏の意思は、これからを生きる私達が引き継いでいかなければならない。これからも、幾多の窮苦を乗り越え、あの革新的で、創造的な勇気あるリーダーが一人でも多く、我が国から輩出されていくために。
(引用)
・2019.10.24、TV東京系、「カンブリア宮殿」
・チェンジリーダーの条件、ピーター・F・ドラッカー著、ダイヤモンド社、2000年、39
・(エッセンシャル版)マネジメント 基本と原則、ピーター・F・ドラッカー著、2001年、Ⅳ
敗事多因得意時 (敗れること多くは得意のときに因る)
渋沢栄一
10月24日(2019)のTV東京系「カンブリア宮殿」では、キッコーマンの茂木友三郎名誉会長が出演された。
キッコーマンは、我が家の食卓にも欠かせないものを多く世に送り出している。特に、新型ボトルでヒットさせた醤油、「いつまでも新鮮」シリーズは、マーケティングで言うパッケージングで醤油が酸化するという課題を見事に克服している。そのおかげで、各家庭では、いつまでも醤油本来の美味しさを味わうことが可能となった。
キッコーマンの茂木友三郎氏は、「需要創造」という言葉を多用する。この言葉を聞いた時、私は、「あー、茂木さんも『ドラッカリアン』」なのだと思った。ドラッカリアンとは、現代経営哲学の父であるピータ・F・ドラッカー氏を崇拝している方たちのことを言う。後ほど調べてわかったが、やはり、茂木氏もアメリカの大学で学ばれるなど、立派なドラッカリアンであった。
ドラッカーは、自身の著書「チェンジ・リーダーの条件」の中で次のように言う。
「企業はまず、顧客を創造しなければならない。」と。
茂木氏によれば、経営者の思いつきのアイデアだけで商品を出してもヒットしないという。
ヒットの秘訣は、「潜在需要を有効需要に」まで高めていくこと。
そのためには、経営者のフラッシュアイデアで商品を市場に送り出してはいけない。
まず、試作品をテスト販売するなどして、この新商品は、「本当に市場に受け入れられるのか」、「新たな顧客を創造できるのか」を探る。
そして、満を持しして新商品を市場に投入したら、「絶対にナンバーワンになる」という自信が必要だとも言われる。
そのことは、何も民間事業者に言えることではない。市民や国民のニーズに政策で応えるといった公共などの分野にも言える。
茂木友三郎氏の座右の銘は、冒頭に記した渋沢栄一氏の言葉だ。
要約すれば、苦しいときを乗り越えたとき、名を成すことができる。
得意のときには敗れることが多い。
かつて、ピーター・F・ドラッカーは日本に興味を持ち、日本を訪れ、偉大な経営者の研究をしている。そして、自身の著書においても、「企業の社会的責任」の先駆者として紹介している。
その人物こそ、渋沢栄一氏だ。
ピータ・F・ドラッカーは言う。
「日本が50年代、60年代に発展させたシステムは、他のいかなる国のものよりも大きな成果をあげた。(中略)私は、21世紀の日本が、私と本書に多くのものを教えてくれた40年前、50年前の、あの革新的で創造的な勇気あるリーダーたちに匹敵する人たちを再び輩出していくことを祈ってやまない」
我が国の食卓から醤油離れが著しい。ただ、茂木氏の率いるキッコーマンは、毎年着実に利益を伸ばし、地元千葉県野田市に市民会館を寄付したり、キッコーマン総合病院を開院させるなど、大きな社会貢献も果たしている。
これは、窮苦のときこそ頑張る。それを乗り越えたとき、私たちの活動を通じて、社会をより良くすることができるという精神を貫いてきたからこそだと思う。
渋沢栄一とドラッカー、そして茂木氏の意思は、これからを生きる私達が引き継いでいかなければならない。これからも、幾多の窮苦を乗り越え、あの革新的で、創造的な勇気あるリーダーが一人でも多く、我が国から輩出されていくために。
(引用)
・2019.10.24、TV東京系、「カンブリア宮殿」
・チェンジリーダーの条件、ピーター・F・ドラッカー著、ダイヤモンド社、2000年、39
・(エッセンシャル版)マネジメント 基本と原則、ピーター・F・ドラッカー著、2001年、Ⅳ
2019年10月22日火曜日
読みたいことを、書けばいい。
「感動が中心になければ書く意味がない」
(引用) 「読みたいことを、書けばいい。 人生が変わるシンプルな文章術」、田中泰延著、ダイヤモンド社、2019年、180
私には、好きな曲がある。手嶌葵さんが歌う「明日への手紙」だ。少し前のことになるが、偶然、「音楽チャンプ」というテレビ番組を見ていたら、高校生シンガーの琴音さんが「明日への手紙」をカバーしていた。今まで幾度となく聴いてきた名曲だが、琴音さんが歌いだすと、会場の空気がガラッと変わり、シンガーの創り出す世界に引き込まれ、私も強く胸を打たれた。
歌い終わったあと、審査員の菅井秀憲氏は、琴音さんに次のように伝えた。「人のためによく歌えって言われるんだけど、それはコントロールであって、自分のために歌っていくべきなんです。あなたが自分のために歌うことによって、ここまで周りの人に響かせられるのは奇跡です」と。
この度、田中さんの書かれた本を読み、文章を書くこと、そして歌うことには、共通点があると思った。その共通点とは、どちらも、「感動」が中心になければならないのだ。
田中氏によれば、文章を書く際に収集する一次資料には、「愛するチャンス」が隠されていると言う。そして、文章を書くには、自分が一次資料から発掘し、愛した部分を全力で伝えるという作業が必要だと言う。
それは、シンガーにとっても同じであろう。曲にはストーリーがある。そのストーリーとなる歌詞をシンガーは理解し、あるいは自分でストーリーを歌詞として創作し、その歌詞にメロディーを付した曲を歌うことで伝えていく。その歌詞の中には、歌い手の愛すべき箇所があるはずである。その愛すべき箇所に特に思いを込めて歌い、感動が生まれ、人々の心に伝わっていく。
また、文章は、誰に向けて書くのか。
田中氏によれば、「自分のために書きなさい」と言う。
これも、先ほどの琴音さんを審査した菅井氏の言葉と共通する。
「歌は、自分のために歌っていくんだ」という言葉と。
自分のために文章を書く。また、歌うことによって、自分が満たされ、その姿を見た人たちが感動していく。
SNSなどの普及によって、誰もが文章を書き、容易に情報発信できる時代を迎えた。
現に私も、こうして本の感想をブロクに書いて、情報発信している。
しかし、情報技術が進歩しても、伝わる文章を書くのは、人間だ。
その文章を書くという術(すべ)は、何も今、はじまったことではない。
古(いにしえ)より、文章を書くことは、人間しかできない作業であり、その術は、不変的なものだ。
情報が氾濫している現代だからこそ、今一度立ち止まって、私たちは、真の文章を書くべく、術を確認する必要がある。その一冊として、本書は、大変有効であると感じた。
2019年10月14日月曜日
進化し続ける日本のラグビー
「このときのためにすべての時間を犠牲にして、この勝利のために頑張ってきた。本当に最高です。」
ラグビー日本代表 福岡堅樹選手
昨日、我が家では、テレビの前にかじりついて日本チームの活躍を応援した。ラグビーW杯日本大会1次リーグA組の日本は、スコットランドと戦い、28-21で競り勝った。後半は、スコットランド勢の猛攻により、最後までハラハラしたが、日本は7点を守りきった。これにより、日本は、4連勝でA組1位通過し、悲願の「初の8強」を果たした。
昨日の試合では、特に、俊足を飛ばしてトライをあげるフィニッシャーのWTBの二人の活躍が光った。その二人とは、福岡堅樹、松島幸太朗の両選手だ。福岡選手は、後半2分、スコットランドの選手を置き去りにしてトライを奪うなど、2トライを決め、日本の勝利に貢献した。
試合後、福岡選手は、早口で「このときのためにすべての時間を犠牲にしてきた」と語った。
その言葉を聞いたとき、私は、ナポレオン・ヒルの「願望を手に入れるための6箇条」を思い出した。
この有名な6箇条では、願望を実現するために目標を数値化することや目標の最終期限を決めることなどを掲げている。
その6箇条の中には、「目標を達成するための代償を決める」ことも掲げられている。
目標実現のために労力、そして時間を差し出すことによって、得られるものがある。
そのことを福岡選手は、身を持って教えてくれた。
福岡選手は、2020の東京五輪でラグビーを引退し、医師を目指すと公言している。
厳しい練習に耐え、今はラグビーにすべてを捧げてきた彼なら、まずは来年の五輪出場、そしていつか医師になって多くの人を助けるといった目標も叶えることができることだろう。
何も福岡選手に限ったことではない。日本ラグビー史上初の8強は、ラグビーの日本選手全員が持ち続けている強固な意志と犠牲心によって得られた。
日本チームは、”ONE TEAM”というスローガンを掲げ、強固な意志と犠牲心を持ち続けたメンバー31人が結束し、戦いに挑み続けている。さあ、次は、10月20日開催の決勝トーナメントで南アフリカとの決戦だ。
引き続き、進化を続ける日本ラグビーの活躍を心から応援していきたい。
ラグビー日本代表 福岡堅樹選手
昨日、我が家では、テレビの前にかじりついて日本チームの活躍を応援した。ラグビーW杯日本大会1次リーグA組の日本は、スコットランドと戦い、28-21で競り勝った。後半は、スコットランド勢の猛攻により、最後までハラハラしたが、日本は7点を守りきった。これにより、日本は、4連勝でA組1位通過し、悲願の「初の8強」を果たした。
昨日の試合では、特に、俊足を飛ばしてトライをあげるフィニッシャーのWTBの二人の活躍が光った。その二人とは、福岡堅樹、松島幸太朗の両選手だ。福岡選手は、後半2分、スコットランドの選手を置き去りにしてトライを奪うなど、2トライを決め、日本の勝利に貢献した。
試合後、福岡選手は、早口で「このときのためにすべての時間を犠牲にしてきた」と語った。
その言葉を聞いたとき、私は、ナポレオン・ヒルの「願望を手に入れるための6箇条」を思い出した。
この有名な6箇条では、願望を実現するために目標を数値化することや目標の最終期限を決めることなどを掲げている。
その6箇条の中には、「目標を達成するための代償を決める」ことも掲げられている。
目標実現のために労力、そして時間を差し出すことによって、得られるものがある。
そのことを福岡選手は、身を持って教えてくれた。
福岡選手は、2020の東京五輪でラグビーを引退し、医師を目指すと公言している。
厳しい練習に耐え、今はラグビーにすべてを捧げてきた彼なら、まずは来年の五輪出場、そしていつか医師になって多くの人を助けるといった目標も叶えることができることだろう。
何も福岡選手に限ったことではない。日本ラグビー史上初の8強は、ラグビーの日本選手全員が持ち続けている強固な意志と犠牲心によって得られた。
日本チームは、”ONE TEAM”というスローガンを掲げ、強固な意志と犠牲心を持ち続けたメンバー31人が結束し、戦いに挑み続けている。さあ、次は、10月20日開催の決勝トーナメントで南アフリカとの決戦だ。
引き続き、進化を続ける日本ラグビーの活躍を心から応援していきたい。
2019年10月12日土曜日
台風計画運休
「(台風の中)営業を続けて事故を起こすほうが、企業の安全管理に対する信頼を損ない、ダメージは大きい。こうした対応が定着していくだろう」
第一生命経済研究所 永浜利広主席エコノミスト
(引用)2019年10月12日付 日本経済新聞 朝刊
私は、夏から秋にかけての旅行や出張があると、計画する段階から不安に襲われる。それは以前、高知に出張に行った際、台風に追われ、ギリギリ封鎖寸前の瀬戸大橋を渡り、帰宅することができた苦い経験をしているからだ。しかし、いくら悩んでも2週間以上前に計画する出張や旅行では、当日に台風が接近するかなどの予測は、残念ながら誰もできない。
今年の台風19号は、大型で非常に強い勢力を保ったまま、体育の日を含む3連休の初日(つまり本日)から日本列島を襲っている。
この台風の接近に合わせ、交通機関や工場、店舗などの「計画運休」が定着し、最大規模となった。新幹線は、東海道新幹線が名古屋・東京間で終日運休、首都圏の在来線の一部も終日もしくは一部運休となった。
この3連休、首都圏を中心とした公共交通機関が運休となったことで、影響を受けられたかたは、おそらく何万人にものぼるだろう。
それでも私は、この「計画運休」に反対の立場ではない。事前に利用者に情報が伝われば、当日、駅などにおける大きな混乱を防ぎ、無理な運行を続けたが故に発生する帰宅困難者対策にもつながっていく。また、市民の集う大型イベントなども事前に休止などの告知をすれば、来訪者や関係者の負担も軽減させることができる。
いまや、台風は、技術の進展とともに、気象庁や民間予報会社の精度が上がり、きめ細やかな予測が可能となった。そのため、「計画運休」も利用者の理解とともに、実行しやすくなったのだろう。
災害は、早めの判断、早めの行動が何より重要である。
「計画運休」は、企業のリスク回避だけではない。台風の最中(さなか)に人々の動きを抑える効果もあり、結果的に多くのリスク回避効果をもたらす。現在、「計画運休」は、最善の台風対策であると言えるのではないだろうか。しかしながら反面、人々の動きが限定的になることから、経済停滞を招くことにもつながるといったことなどの課題もある。
これからも、我が国では、試行錯誤を繰り返しながら、すべての人々にとって最善となる台風対策の模索が続いていく。
第一生命経済研究所 永浜利広主席エコノミスト
(引用)2019年10月12日付 日本経済新聞 朝刊
私は、夏から秋にかけての旅行や出張があると、計画する段階から不安に襲われる。それは以前、高知に出張に行った際、台風に追われ、ギリギリ封鎖寸前の瀬戸大橋を渡り、帰宅することができた苦い経験をしているからだ。しかし、いくら悩んでも2週間以上前に計画する出張や旅行では、当日に台風が接近するかなどの予測は、残念ながら誰もできない。
今年の台風19号は、大型で非常に強い勢力を保ったまま、体育の日を含む3連休の初日(つまり本日)から日本列島を襲っている。
この台風の接近に合わせ、交通機関や工場、店舗などの「計画運休」が定着し、最大規模となった。新幹線は、東海道新幹線が名古屋・東京間で終日運休、首都圏の在来線の一部も終日もしくは一部運休となった。
この3連休、首都圏を中心とした公共交通機関が運休となったことで、影響を受けられたかたは、おそらく何万人にものぼるだろう。
それでも私は、この「計画運休」に反対の立場ではない。事前に利用者に情報が伝われば、当日、駅などにおける大きな混乱を防ぎ、無理な運行を続けたが故に発生する帰宅困難者対策にもつながっていく。また、市民の集う大型イベントなども事前に休止などの告知をすれば、来訪者や関係者の負担も軽減させることができる。
いまや、台風は、技術の進展とともに、気象庁や民間予報会社の精度が上がり、きめ細やかな予測が可能となった。そのため、「計画運休」も利用者の理解とともに、実行しやすくなったのだろう。
災害は、早めの判断、早めの行動が何より重要である。
「計画運休」は、企業のリスク回避だけではない。台風の最中(さなか)に人々の動きを抑える効果もあり、結果的に多くのリスク回避効果をもたらす。現在、「計画運休」は、最善の台風対策であると言えるのではないだろうか。しかしながら反面、人々の動きが限定的になることから、経済停滞を招くことにもつながるといったことなどの課題もある。
これからも、我が国では、試行錯誤を繰り返しながら、すべての人々にとって最善となる台風対策の模索が続いていく。
グッドマンの法則
苦情処理のフレームワークとしてよく知られる「グッドマンの法則」によると、クレームを言わずに立ち去った人のリピート率は低額商品37%、高額商品(およそ1万円以上)9%でしたが、クレームを言ったものの、その対応に満足した人のリピート率は低額商品95%、高額商品82%でした。
(引用)クレーム対応 最強の話しかた、山下由美著、ダイヤモンド社、2019年、55
先日、私は、ある中古本屋さんで中古CDを購入した。12月が近いため、家族用にリビングで聞こうと、クリスマスソングを購入したのだ。早速、購入後、家に帰ってCDを聴いてみた。流れてきた曲は、ショパンのノクターン(夜想曲)。「あれっ?」と思った次の瞬間、私は、CDケースと中身が違っていることに気づかされた。
すぐに、中古本屋さんにクレームの電話を入れた。中古本屋さんで受話器をとったのは、アルバイト定員らしき人物であった。私がクレームの主旨を説明すると、「申し訳ありません。お代金は、明日、現金書留で郵送させていただき、返金とさせていただきます。また、CDのケースと中身の返却のことがありますので、明日、責任者から連絡をさせます」とのことであった。
次の日は、土曜日ということで、中古本屋さんからの郵便物と責任者からの電話を待ち続けた。しかし、土曜日、日曜日、そして月曜日になっても一向に連絡をいただけなかった。
痺れをきらした火曜日、私は、再度、中古本屋に電話を入れることになった。また、アルバイトらしき人物が電話に出たが、今度は、すぐに正社員のかたに電話を回してくれた。
正社員の方は、電話代がかかるからと、向こうから電話をかけ直し、「申し訳ありません。私が責任を持って現金書留を送付させていただきます。また、お買い求めいただいたものは、ご面倒でなければ破棄していたければと存じます」とのことであった。
その二日後、お詫び文と現金書留が我が家に届いた。
このたび、クレーム対応の本を読む機会に恵まれた。その中で、クレーム対応の基本は、「お客様の気持ちを代弁する」ことが重要と記されている。
確かに、私は、クレームの電話を入れたのは、別に代金を返してほしかったわけではない。「せっかく、楽しみにされていたCDをお買い求めになられたのに、私達の確認不足でお客様に不快な思いをさせてしまい、申し訳なく思っております」の一言が欲しかっただけなのだ。
いくらアルバイト店員といえども、そのクレームの対応如何によっては、そのショップのブランドイメージを損なうことになる。
顧客がショップから離れていくか、それとも店員の立派なクレーム対処によって、顧客をショップのファンにさせるか。類似店が多く、どの種類のショップも生き残りに必死であると聞く。その中で、他のショップと差別化を図っていくためには、クレーム対応の技術的なスキルは益々重要になっていくと感じた。
(引用)クレーム対応 最強の話しかた、山下由美著、ダイヤモンド社、2019年、55
先日、私は、ある中古本屋さんで中古CDを購入した。12月が近いため、家族用にリビングで聞こうと、クリスマスソングを購入したのだ。早速、購入後、家に帰ってCDを聴いてみた。流れてきた曲は、ショパンのノクターン(夜想曲)。「あれっ?」と思った次の瞬間、私は、CDケースと中身が違っていることに気づかされた。
すぐに、中古本屋さんにクレームの電話を入れた。中古本屋さんで受話器をとったのは、アルバイト定員らしき人物であった。私がクレームの主旨を説明すると、「申し訳ありません。お代金は、明日、現金書留で郵送させていただき、返金とさせていただきます。また、CDのケースと中身の返却のことがありますので、明日、責任者から連絡をさせます」とのことであった。
次の日は、土曜日ということで、中古本屋さんからの郵便物と責任者からの電話を待ち続けた。しかし、土曜日、日曜日、そして月曜日になっても一向に連絡をいただけなかった。
痺れをきらした火曜日、私は、再度、中古本屋に電話を入れることになった。また、アルバイトらしき人物が電話に出たが、今度は、すぐに正社員のかたに電話を回してくれた。
正社員の方は、電話代がかかるからと、向こうから電話をかけ直し、「申し訳ありません。私が責任を持って現金書留を送付させていただきます。また、お買い求めいただいたものは、ご面倒でなければ破棄していたければと存じます」とのことであった。
その二日後、お詫び文と現金書留が我が家に届いた。
このたび、クレーム対応の本を読む機会に恵まれた。その中で、クレーム対応の基本は、「お客様の気持ちを代弁する」ことが重要と記されている。
確かに、私は、クレームの電話を入れたのは、別に代金を返してほしかったわけではない。「せっかく、楽しみにされていたCDをお買い求めになられたのに、私達の確認不足でお客様に不快な思いをさせてしまい、申し訳なく思っております」の一言が欲しかっただけなのだ。
いくらアルバイト店員といえども、そのクレームの対応如何によっては、そのショップのブランドイメージを損なうことになる。
顧客がショップから離れていくか、それとも店員の立派なクレーム対処によって、顧客をショップのファンにさせるか。類似店が多く、どの種類のショップも生き残りに必死であると聞く。その中で、他のショップと差別化を図っていくためには、クレーム対応の技術的なスキルは益々重要になっていくと感じた。
2019年10月8日火曜日
心。
災難が起こったということは、業が消えたということです。だからこそ、大きなことはもちろん、ごく小さなことであっても、それによって業がなくなったことを「喜ぶ」べきなのです。たとえ心からそう思えなかったとしても、理性を使って喜ぼうとする思いをもつことが大切です。
喜ぶことができれば、おのずと感謝することができます。どんな災難でも喜び、感謝すれば、もうそれは消えてなくなるのです。
(引用) 「心。人生を意のままにする力」、稲盛和夫著、サンマーク出版、2019年、42-43
先日、本ブログに世界的指揮者の佐渡裕氏による次の言葉を紹介した。
『奇跡を起こせる人間は、失敗した時にこそ、「ありがたい」と感謝できるんです。』
実は、この佐渡氏の言葉の真意について、私は、あまり理解できていなかった。なぜ、失敗したときに感謝をしなければならないのか、と。
しかし、このたび、稲盛和夫氏の「心。人生を意のままにする力」を拝読し、その真意が理解できた。
災難が起こったということは、「業」が消えるというのだ。
「業」とは、一言でいえば「前世の悪行の報い」ということであろう。
このことを稲盛氏は、元臨済宗妙心寺派管長の西片老師から教わったという。
当時、京セラが医療用の人工膝関節を認可を受けずに製造、供給してマスコミに叩かれた時、心身ともに疲れきった稲盛氏は、老師のところに相談に行った。そのとき、老師は、「それはよかったですね。災難が降りかかるときは、過去の業が消えるときなのです。それぐらいのことで業が消えるのですから、お祝いしなければなりませんな」といわれたという。
「心。」
80を過ぎた稲盛氏がたどり着いた結論は、「心がすべてを決めている」ということだ。
このことは、稲盛氏が歩んできた京セラ、KDDIという会社をこの世に送り出し、経営破綻した日本航空(JAL)を復活させたという偉大な実績が証明している。
『奇跡を起こせる人間は、失敗した時にこそ、「ありがたい」と感謝できるんです。』
実は、この佐渡氏の言葉の真意について、私は、あまり理解できていなかった。なぜ、失敗したときに感謝をしなければならないのか、と。
しかし、このたび、稲盛和夫氏の「心。人生を意のままにする力」を拝読し、その真意が理解できた。
災難が起こったということは、「業」が消えるというのだ。
「業」とは、一言でいえば「前世の悪行の報い」ということであろう。
このことを稲盛氏は、元臨済宗妙心寺派管長の西片老師から教わったという。
当時、京セラが医療用の人工膝関節を認可を受けずに製造、供給してマスコミに叩かれた時、心身ともに疲れきった稲盛氏は、老師のところに相談に行った。そのとき、老師は、「それはよかったですね。災難が降りかかるときは、過去の業が消えるときなのです。それぐらいのことで業が消えるのですから、お祝いしなければなりませんな」といわれたという。
「心。」
80を過ぎた稲盛氏がたどり着いた結論は、「心がすべてを決めている」ということだ。
このことは、稲盛氏が歩んできた京セラ、KDDIという会社をこの世に送り出し、経営破綻した日本航空(JAL)を復活させたという偉大な実績が証明している。
2019年10月5日土曜日
FACTFULNESS
「じゃあ、わたくしの夢を言ってさしあげましょうか。それは、わたくしの孫がヨーロッパに観光に行って、そちらの新幹線に乗ることですよ。スウェーデンの北に氷のホテルがあるっていうじゃありませんか。うちの孫がそこに泊まるようになるんですよ。だいぶ先のことですけど、きっとそうなります。(中略)でも50年もすればアフリカの人たちは観光客としてヨーロッパに歓迎される存在になります。難民として嫌がられるんじゃなくてね。それがビジョンというものよ」
アフリカ連合委員会 ノーサザーナ・ドラミニ・ズマ委員長
(引用)FACTFULNESS 、ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド、日経BPマーケティング、2019年、234-235
本書を読み、レベル4(先進国)に住む私達にとって、世界に対する自分の常識が間違っているということを認識させられた。
その常識とは、例えば、世界中で電気が使える人はまだまだ少ないだろうということなど。
しかし、すでに80%の人がすでに電気を使用しているし、世界の姿は一変している。家族形態も、先進国のように少人数の家族が当たり前になり、普通の暮らしができるようになっているということを理解した。
実は、私も毎月いただく給料の中から、些少ながらユニセフに寄付をさせていただいている。そのユニセフは、製薬会社と長期的な収益を約束する代わりに、1回あたりの予防接種コストを下げる交渉が成立していたことを知った。しかも、ユニセフの薬は、売値のほうが原価より安い。そのユニセフと契約している製薬会社の「世界に貢献しよう」とする思いから、どのように企業を維持させているかというマジック(企業努力)にも感銘を受けた。善意による寄付金を有効に活用し、多くの子どもたちに予防接種をする努力も実を結び、今では、世界中の1歳児の中で何らかの病気に対して予防接種を受けている子供は80%にものぼるという。
「世界はどんどん悪くなっている?」
いや、この本を読めば、裏付けられた様々なエビデンスによって、良くなってきていることが理解できる。
そう、「私たちの住む世界は、どんどん良くなっている」のだ。
そして、いつの日か、我が国もソサエティ5.0の時代を全世界に先駆けて進展を遂げ、さらに生活が豊かに快適になること。そして、私が生きているときには間に合わないかもしれないが、我が国が多くのアフリカ観光客で溢れかえる日が来ることを楽しみに待っている。
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