2019年10月8日火曜日

心。


災難が起こったということは、業が消えたということです。だからこそ、大きなことはもちろん、ごく小さなことであっても、それによって業がなくなったことを「喜ぶ」べきなのです。たとえ心からそう思えなかったとしても、理性を使って喜ぼうとする思いをもつことが大切です。
喜ぶことができれば、おのずと感謝することができます。どんな災難でも喜び、感謝すれば、もうそれは消えてなくなるのです。

(引用) 「心。人生を意のままにする力」、稲盛和夫著、サンマーク出版、2019年、42-43


先日、本ブログに世界的指揮者の佐渡裕氏による次の言葉を紹介した。
『奇跡を起こせる人間は、失敗した時にこそ、「ありがたい」と感謝できるんです。』

実は、この佐渡氏の言葉の真意について、私は、あまり理解できていなかった。なぜ、失敗したときに感謝をしなければならないのか、と。

しかし、このたび、稲盛和夫氏の「心。人生を意のままにする力」を拝読し、その真意が理解できた。

災難が起こったということは、「業」が消えるというのだ。
「業」とは、一言でいえば「前世の悪行の報い」ということであろう。

このことを稲盛氏は、元臨済宗妙心寺派管長の西片老師から教わったという。
当時、京セラが医療用の人工膝関節を認可を受けずに製造、供給してマスコミに叩かれた時、心身ともに疲れきった稲盛氏は、老師のところに相談に行った。そのとき、老師は、「それはよかったですね。災難が降りかかるときは、過去の業が消えるときなのです。それぐらいのことで業が消えるのですから、お祝いしなければなりませんな」といわれたという。

「心。」
80を過ぎた稲盛氏がたどり着いた結論は、「心がすべてを決めている」ということだ。
このことは、稲盛氏が歩んできた京セラ、KDDIという会社をこの世に送り出し、経営破綻した日本航空(JAL)を復活させたという偉大な実績が証明している。