「じゃあ、わたくしの夢を言ってさしあげましょうか。それは、わたくしの孫がヨーロッパに観光に行って、そちらの新幹線に乗ることですよ。スウェーデンの北に氷のホテルがあるっていうじゃありませんか。うちの孫がそこに泊まるようになるんですよ。だいぶ先のことですけど、きっとそうなります。(中略)でも50年もすればアフリカの人たちは観光客としてヨーロッパに歓迎される存在になります。難民として嫌がられるんじゃなくてね。それがビジョンというものよ」
アフリカ連合委員会 ノーサザーナ・ドラミニ・ズマ委員長
(引用)FACTFULNESS 、ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド、日経BPマーケティング、2019年、234-235
本書を読み、レベル4(先進国)に住む私達にとって、世界に対する自分の常識が間違っているということを認識させられた。
その常識とは、例えば、世界中で電気が使える人はまだまだ少ないだろうということなど。
しかし、すでに80%の人がすでに電気を使用しているし、世界の姿は一変している。家族形態も、先進国のように少人数の家族が当たり前になり、普通の暮らしができるようになっているということを理解した。
実は、私も毎月いただく給料の中から、些少ながらユニセフに寄付をさせていただいている。そのユニセフは、製薬会社と長期的な収益を約束する代わりに、1回あたりの予防接種コストを下げる交渉が成立していたことを知った。しかも、ユニセフの薬は、売値のほうが原価より安い。そのユニセフと契約している製薬会社の「世界に貢献しよう」とする思いから、どのように企業を維持させているかというマジック(企業努力)にも感銘を受けた。善意による寄付金を有効に活用し、多くの子どもたちに予防接種をする努力も実を結び、今では、世界中の1歳児の中で何らかの病気に対して予防接種を受けている子供は80%にものぼるという。
「世界はどんどん悪くなっている?」
いや、この本を読めば、裏付けられた様々なエビデンスによって、良くなってきていることが理解できる。
そう、「私たちの住む世界は、どんどん良くなっている」のだ。
そして、いつの日か、我が国もソサエティ5.0の時代を全世界に先駆けて進展を遂げ、さらに生活が豊かに快適になること。そして、私が生きているときには間に合わないかもしれないが、我が国が多くのアフリカ観光客で溢れかえる日が来ることを楽しみに待っている。