「歳をとる」というのは、誰も皆、やったことないですから。誰もがみんな初体験。
私も、ここから先は初めての道です。
「初めてのことなんだから、楽しんでやっていければいいな」
そう思っています。
(引用)まあまあふうふう。、八千草薫著、主婦と生活社、2019
昨日、女優の八千草薫さんが膵臓がんで亡くなった。88歳だった。
訃報をお聞きして、ふと、八千草さんの大ファンだった自分の祖父のことを思い出した。
温和で上品で、そして映画やテレビなどでひたむきに生きる日本の女性の美しさを演じきった八千草さんは、幅広い年代に親しまれた。
誰しも老いはやってくる。楽天インサイトが行った20-60代、男女1000人に行った「終活アンケート」によれば、終活をする意向があるかたが40.3%にのぼり、その理由として「家族に迷惑をかけたくない」が75.9%であった。
意外だったのは、終活の意向がある年代別でトップだったのが30代で46%。家庭を持ち、子供ができて、自分の生き方に責任が生まれてくる年代だからだろうか。
一方、終活の中で、「何から手を付けて良いかわからない」が36%、「相談できる相手がいない」が18.6%にのぼっている。「終活」というキーワードは、今後さらに民間事業者にとってビジネスチャンスになっていくだろうし、公共機関は、終活セミナーの開催など、八千草さんの言われた「楽しく老いる」ためのサポート支援をより一層、充実させていくことが求められるのではないだろうか。
終活というのは、何も気張らなくてもいいというのが私の考えだ。例えば、我が家の例で言えば、エクセルを使って取引金融機関、口座番号、残高、金融機関の連絡先を一覧にして、家族で共有するだけでも終活になる。また、加入している保険、種類、保険番号、保険会社、保険会社の連絡先なども一覧にしておけば、終活のみならず、災害にあったときなどにも役に立つ。これは、以前、危機管理研究所の国崎信江さんに教えてもらったことだ。
八千草さんが著された本のタイトル、「まあまあふうふう」という言葉は、中国語からきていて、「いい加減な」という意味があるようだ。しかし、「いい加減」というのは、「気張らない」という意味にもつながると思う。
このブログを書いている時、どこからか、あの、八千草さんの優しい声で「これからも楽しんで歳を取っていってくださいね」と囁かれた気がした。
私は、少しでも八千草さんのように素敵に歳を重ねていきたいと思った。
八千草薫さんのご冥福を、心よりお祈りします。
(引用)2019.10.26付、日本経済新聞朝刊記事、Pickデータ 「終活する」全体の4割